ツラろう

慢性副鼻腔炎の具体的状況

慢性副鼻腔炎という名前が示す通り、副鼻腔が炎症しているということかと思います。とても簡単で明確な説明ですが、実は具体的なことがよくわかりません。

副鼻腔が炎症しているというのはどういうことなのでしょうか?

分かったからと言って指をつっこんで治療ができる訳でもないのですが、身体のどの部位に何が起きているのかを知ることには多少なりとも意味があると思っています。

わからないことそれ自体がストレスになり得るためです。

慢性副鼻腔炎の症状の詳細

慢性副鼻腔炎とは具体的にどうなってる状態なのかを、金原出版より出版されている「耳鼻咽喉科薬物療法マニュアル」から引用します。

粘膜上の線毛運動の障害、腺上皮の増生(粘液の過剰生産)、血管透過性の亢進、粘膜への炎症細胞浸潤が生じる。最終的には、副比丘ウウの粘膜線毛機能が障害され、洞内の貯留液の排泄が更に妨げられて、副鼻腔病変を蔓延化するという悪循環を生じることとなる。

鼻水が出続ける状況を、医学的に説明するとこうなるようです。

分かりやすく書きますと、異物を外に出す機能が阻害されたり、粘液が過剰に出たりするために炎症が生じるようです。困った事に、この炎症が更に粘膜の排出機能を低下させて後鼻漏のように鼻汁を溢れさせてしまうようです。

単なる過剰な鼻汁の分泌だけが問題ではなくて、鼻汁の過剰分泌によって本来の機能が阻害されて、さらに鼻汁がたまるという恐ろしい悪循環を繰り返すようです。

…これは簡単には治らないはずです。根本を治したとしても、阻害している部分が治らなければ完治できないでしょうし、最悪再発してしまいそうですから。

慢性副鼻腔炎の症状と併発する症状など

慢性副鼻腔炎は他の症状も引き起こす可能性があります。再び引用します。

慢性副鼻腔炎には鼻ポリープが高確率で合併する。最近の慢性副鼻腔炎は、従来の典型的症状である膿性鼻漏以外にも、アレルギー要素が加わったり、嗅覚障害や頭痛、眼症状などの様々な症状や病態が混在するようになっている。また、小児では鼻症状だけではなく、眼瞼腫脹、啖や咳をともなる事が特長である。

慢性副鼻腔炎と合併する症状を見ると、冷や汗がでますね…。最近はアレルギー要素が加わったり、と書かれていますが、恐らくこの部分が花粉症などのアレルギー性鼻炎を指しているのでしょう。昔はこういった症状はあまりなかったと聞いていますから。

なお、鼻ポリープとは、鼻腔内(鼻の穴の中)に半透明で比べのようなイメージの腫瘤(しゅりゅう)ができる症状を指します。それほど重い症状ではないようですが、稀に悪性腫瘍が発生することもあるそうです。基本的にはホルモン薬で対応し、治らない場合は外科的に取り除く手術をする必要があるそうです。

慢性副鼻腔炎が原因となる症状

合併ではなく、慢性副鼻腔炎が原因で発生する症状もあります。以下に引用します。

中耳炎や呼吸障害などのほかの病気に原因ともなりうる。

さらに、慢性副鼻腔炎を放置すると下気道の病気ーつまり慢性気管支炎や喘息などを引き起こしたり、増悪させたりするし、決して軽んじてはならない病気である。

特に中高齢者は年齢とともに肺機能が低下し、慢性副鼻腔炎の合併によって快適な日常生活にも支障が生じる可能性もあり、早めの治療を推奨する。

慢性副鼻腔炎から慢性気管支炎や喘息が引き起こされるのですね…。後鼻漏からアレルギー性鼻炎にもどり、そこから慢性副鼻腔炎まで範囲を広げ、そしてその先には慢性気管支炎や喘息がありました。鼻の症状から端を発して、慢性的な疾患による苦しみまで確認できるとは、背筋が凍る思いです。

早め早めの対処を、というだけではなかなか動かないものですが、こうして悪化する様子を知ることができると、重い腰も動くでしょう。

慢性副鼻腔炎の概要

「慢性副鼻腔炎の概要」という名称でかなり分かりやす表が「耳鼻咽喉科薬物療法マニュアル」に書かれていましたので、引用します。

原因
ウイルス感染後の細菌感染 / 外傷 / 気圧変化
症状
鼻漏 / 鼻閉 / 後鼻漏 / 咳 / 微熱 / 眼瞼腫脹 / 頭痛,頬部痛 / 咽頭痛 / 耳痛
診断(定義)
3ヶ月以上持続する鼻症状や副鼻腔関連症状と画像診断による副鼻腔影の存在
補助診断
鼻汁スメア / アレルギー検査
治療
保存的(内科的)療法 / 薬物療法 / 局所療法 / 手術的(外科的)療法 / Drainage / Caldwell-Luc procedure / Killian procedure / Endoscorpic sinus surgery

引用元の書名が「耳鼻咽喉科薬物療法マニュアル」だけあって、診断マニュアル的な内容で素晴らしいと思います。もちろん、素人からみると外科的療法のあたりはなにがなにやらわかりませんが…。個人的にはsurgeryが手術を表す単語であることだけわかりました。

この表に書かれていますが、慢性副鼻腔炎は後鼻漏の原因となります。鼻汁が過剰に出る鼻炎という症状なのですから当然と言えば当然なのですが、後鼻漏以外にも注意をせねばなりません。

表に書かれているのは後鼻漏だけではなく、その他の症状も挙げられています。つまり、これらを発症する可能性も十分にあるのです。現状、後鼻漏だけで嫌になってしまうのですが、この他にこれだけの症状にかかるリスクを回避できていると思えば、まだ幸運なのかもしれません。

悪化すれば前段のようにポリープができてもおかしくはありませんし、侮ることなく注意が必要ですね。