ツラろう

アレルギー性鼻炎と睡眠障害(2013年の論文より)

アレルギー性鼻炎と睡眠障害に関する論文を見つけたのでご紹介します。

なお後述しますが睡眠障害とは「睡眠時無呼吸症候群」を指します。眠りづらいという漠然としたものではありません。

またこれも後述しますが「傾向がある」というレベルの話です。残念ながら改善策や治療法のたぐいの内容ではありません。

論文の書誌情報

論文に関する情報です。

概要

睡眠時無呼吸症候群とは、寝ているときに呼吸が長く止まったり、弱くなることを症状をさします。基本的には睡眠で本来回復するはずの機能が回復しませんので、寝ても疲れが取れず眠気もきえません。

神経が休まっていないため集中力にかけ頭痛などもおきます。

なお、睡眠時無呼吸症候群には大きく分けて3つに分けられるそうです。

3タイプありますが、実際にはほとんどが閉塞性睡眠時無呼吸症候群だそうです。

閉塞性睡眠時無呼吸症候群の原因は上気道がしまっていたり狭くなっていたりすることだそうで、以下のものが要因となるそうです。

OSASは肥満,顎顔面形態異常,扁桃肥大,アデノイド増殖症,副鼻腔炎,鼻中隔彎曲症,アレルギー性鼻炎等の耳鼻咽喉科疾患による上気道狭窄が原因となる。

私たち後鼻漏患者にとっては関心の高い、副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎が挙げられています。も

ともと、後鼻漏を発症すると睡眠がとりにくくなります。それもこれも鼻炎による鼻水(鼻汁)が原因ですから、睡眠に問題がでるという点は大きくうなずけますね。

この論文では閉塞性睡眠時無呼吸症候群とアレルギー性鼻炎の関連に着目しています。

なお、調査対象からは季節性アレルギー性鼻炎の患者が除外され、通年性アレルギー性鼻炎の患者が採用されています。

この理由はよくわかりませんが、季節性は花粉が要因であり、通年生はダニやほこりである点に意味があるのだと思います。

調査と調査結果

調査対象患者に以下の調査を行ったそうです。

(1)睡眠潜時
鼻炎群75.8±23.4分,鼻炎なし群52.6±21.2分であり,鼻炎群は鼻炎なし群にくらべ睡眠潜時が有意に延長していた(p)0.030)。
(2)睡眠効率
鼻炎群59.2±14.4%,鼻炎なし群61.0±12.4%で両群間に有意差は認めなかった。
(3)睡眠段階
鼻炎群2.93±4.94%,鼻炎なし群4.11±5.14%で両群間に有意差は認めなかった。
(4)SpO2
最小値は鼻炎群で78.8±10.5%,鼻炎なし群で80.9±6.1%,平均値は鼻炎群93.0%,鼻炎なし群93.8%であり,ともに両群間に有意差は認めなかった。
(5)AHI,arousal index
AHIは鼻炎群45.2±28.3回,鼻炎なし群38.6±19.9回だった。arousal indexは鼻炎群33.3±18.0回,鼻炎なし群27.3±10.5回でともに両群間に有意差は認めなかった。
(6)ESS
アレルギー性鼻炎群8.8±0.9点,アレルギー性鼻炎なし群7.9±0.9点で両群間に有意差は認めなかった。
(7)鼻腔抵抗(図))
鼻腔通気度は吸気において鼻炎群0.25±0.13Pa/cm3/s,鼻炎なし群0.17±0.10Pa/cm3/sであり,また呼気においても鼻炎群0.27±0.15Pa/cm3/s, 鼻炎なし群0.17±0.09Pa/cm3/sであった。鼻腔抵抗は,吸気および呼気いずれも鼻炎群の方が鼻炎なし群にくらべ有意に高かった(それぞれp=0.012,呼気p=0.030)。
(8)CPAPのコンプライアンス
CPAPを導入した比率は鼻炎群59%,鼻炎なし群62%であり両群間に有意差は認めなかった。CPAPを導入した患者のうち途中で脱落した比率は鼻炎群21%,鼻炎なし群14%で両群間に有意差は認めなかった。鼻炎患者は7名全員の脱落原因がマスクの圧迫感や呼吸苦などによる入眠妨害であった。

専門的な部分はよく分かりませんが、「睡眠潜時」「睡眠効率」「睡眠段階」「鼻腔抵抗」は何となくわかりそうです。そして、各調査項目ごとにかかれている「有意差」が花粉症の場合とそうでない場合との差だということもわかります。

見ている限りですと7と8に有意差があったことがわかります。とはいえ、「鼻腔抵抗」は読んで字のごとく、鼻の穴を通しての息のしやすさでしょうから、アレルギー性鼻炎の患者と比べて違って当然ではありますが。こうしてデータとしてみると、より明確に、個々人の感覚の問題ではないのだということがよくわかりますね。

睡眠時無呼吸症候群と鼻水

睡眠時無呼吸症候群の原因は鼻閉につきます。

アレルギー性鼻炎のある患者は鼻が詰まりますからもちろん鼻閉になります。

つまり、アレルギー性鼻炎と閉塞性睡眠時無呼吸症候群には繋がりがあると考えられた訳です。実際に正常な患者の鼻を睡眠時に塞いだところ、睡眠時無呼吸症候群を誘発したともかかれています。

睡眠時無呼吸症候群の治療に際し、アレルギー性鼻炎を治療することが効果につながったという記述もありますし、両者は密接なのでしょう。

上記の通りなら結局元凶はアレルギー性鼻炎ということになりますね…。やはり後鼻漏やその他の症状でも原因は鼻水に戻ってきます。