ツラろう

子供の慢性的な咳について(1) 2008年公開のアンケート結果より

後鼻漏に限らないのですが、子供(小児)の咳の原因は多様なようです。「子供の咳が止まらない」「夜に子供がひどく咳をする」というのはきになりますよね。

しかしながら、大人でも咳を軽視しがちですが、子供の咳も軽視、といいますか重要視されにくい場合もあるでしょう。慢性的であっても小さな咳であればただむせているだけにも見えてしまいますし。

今回も「咳と痰の臨床(医薬ジャーナル社)」から引用しつつ、小児の咳について書いてみます。

慢性的な席の有症率

「咳と痰の臨床」には、2008年に実施された「未就学児の呼吸器症状の実態-保護者を対象としたアンケート調査報告(発送数1,375/有効回答数1,168/有効回答率84.9%)」という論文からの引用として以下のように書かれています。

乾性咳嗽の症状を「コンコンと乾いた咳が出る(痰はからまない)」、湿性咳嗽の症状を「ゼロゼロといった痰がからんだ咳が出る」と表現して質問した。

最近1年間の呼吸器症状は、鼻水・鼻づまりが94.8%と最も多く、次いで乾性咳嗽73.7%、湿性咳嗽64.3%、喘鳴19.2%の順であった。

とあり、さらに

呼吸器症状はなかったと回答したのは2.7%にすぎなかった。

とありました。

つまり、保護者の目から見ると、子供は基本的に鼻づまりや咳がごく日常的に続いていると考えられます。「他の子供も咳をしているから安心」ということではありませんが、咳自体は珍しくはないようです。そして同時に、多くの保護者は子供の咳を気にして心配してるともいえます。

「我が子だけに発症している症状なのか、我が子以外にも発症している症状なのか」というのは非常に気になる点だと思います。ある意味では、それは心配のし過ぎである可能性があり、子供は咳をしやすいものだという理解でよいのだと思います。

繰り返しますが、だからといって放置してもよいという訳でありませんので、お間違えのないように。

通院率

咳症状がでた際の通院率についてもアンケートをとっていましたので、引用します。

>「病院へ行った」と回答したのは、乾性咳嗽71.6%、湿性咳嗽91.9%、喘鳴94.0%、鼻水・鼻づまり73.0%であった。

音で違和感が分かりやすい湿性咳嗽(痰が絡んだ咳)と喘鳴はさすがに病院に連れて行く方が多いようです。分かりやすいだけに判断もしやすいですし、急がなければという気持ちになりやすいのかもしれません。

反面、乾性咳嗽や鼻水・鼻づまりはやや低めの70%前半の数値です。

子供の顔を見たとき鼻水が鼻の穴付近にこびりついている様をみかけますが、思い出してみると結構な頻度で見かけたような気がします。それだけ多くの子供が鼻水に悩まされている(本人に自覚があるかどうかはわかりませんが)とするならば、鼻水が長引いている時も病院に連れて行ってあげたほうが良いのかしれませんね。

呼吸器症状が悪化する時期と時間

呼吸器症状が悪化する時期と時間に関して、以下のように書かれています。

いずれの呼吸器症状も8月に少なくなり、12-3月の期間に最も多くなる傾向が認められる。

花粉症から後鼻漏になった身としては、鼻が悪化する原因である花粉の飛散時期に近いようにも思えます。 もっとも、この時期の植物の種類や地域によって違うでしょうし、花粉だけが原因ではないのでまた別の理由からかもしれませんが。

また、咳がでる時間帯についても書かれています。

咳嗽が悪化する時間帯は、乾性咳嗽と湿性咳嗽はいずれも寝入り後から起きるまでに顕著で、夜間から朝が中心と考えられた。このことから、小児における咳嗽は頻度の高い症状であること、その頻度が、一年、一日を通じて変化することが示された。

睡眠と起床という生活サイクルの区切りで起こることのようで、「何時間で咳が出る」などではない点が「変化する」と書かれている模様です。

睡眠時や起床時は大人でも苦しい時間帯です。寝覚めに喉が傷み咳が出たり、喉に強い違和感を感じてすぐにでも水を飲みたいという感覚はおなじみでしょう。子供も、同様なのかもしれません。

子供だから楽になるわけではない ここまでのアンケート結果で、子供だから咳が軽いなどとはいえないことがわかります。

多くの子供が咳を慢性的に(長期間継続して)していますから、子供自体もその辛さに慣れてくる部分はあるかもしれませんが、辛いことに変りはありません。

なお、このアンケートは2008年に公開されたもので、今から考えるとそれなりに昔です。ですが、劇的に改善することはないでしょうし現在の状況も類似している可能性が高いといえます。

「子供の慢性的な咳について」の関連記事と参考文献

「子供の慢性的な咳について」に属するのは以下の記事です。必ずしも後鼻漏に関わらない内容ですが、咳と後鼻漏の関係は不快ですし、その咳について知ることはムダにならないと思います。