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アレルギー性鼻炎発症のメカニズム(くしゃみ,鼻水,鼻づまり)

ライフ・サイエンスから出版されている「鼻アレルギー診察ガイドライン 2013年版(改訂第7版)」から「アレルギー性鼻炎発症のメカニズム」と「くしゃみ」「鼻水」「鼻づまり」に関して引用しつつ書きます。

アレルギー性鼻炎発症のメカニズム

抗原特異的IgE抗体が気道粘膜に分布する好塩基性細胞(肥満細胞と好塩基球)上のIgE受容体に固着することによって感作が成立する。

基本的には、アレルゲン(アレルギー反応の原因物質)が鼻の粘膜に存在するIgE受容体にくっつくことで発症します。

なおこの流れ自体は通常のことで、異物排除のためには必須の動作です。花粉症などのアレルギー性鼻炎と呼ばれるものはこれが連続して過剰に起こるので問題になります。

前述の説明をもう少し詳しくすると以下のようになります。

感作陽性者が鼻粘膜上の抗原に吸入されると、鼻粘膜上皮細胞間隙を通過した抗原は、鼻粘膜表層に分布する肥満細胞の表面でIgE抗体と結合し、抗原抗体反応の結果、粘膜型肥満細胞からヒスタミン、ロイコトリエン(LTs)を主とする化学伝達物質が放出される。

これらの化学伝達物質に対する鼻粘膜の知覚神経終末、血管の反応として、くしゃみ、水溶性鼻水、鼻粘膜膨張(鼻閉)が見られる。

これが即時相反応(early phase reaction)である。

アレルギー性鼻炎の薬に「抗ヒスタミン剤」がありますが、このヒスタミンがここででてきます。

ヒスタミンを抑えればアレルギー反応は弱まるので、そこに着目した薬であることがわりますね。

なお、このヒスタミンやロイコトリエンが放出された結果、花粉症でおなじみのくしゃみ、鼻水、鼻づまりが起きることになります。

アレルギー性鼻炎のくしゃみ

各種科学伝達物質を鼻粘膜上に投与した際に、有意なくしゃみ反応を誘発するのはヒスタミンだけであるので、抗原誘発時に見られるくしゃみは主にSP、CGRP陽性神経週末のヒスタミン刺激による呼吸反射であり、知覚刺激効果が鼻粘膜過敏症により増幅されたものと考えられる。

前述のヒスタミンこそが、くしゃみの原因だと書かれています。

アレルギー性鼻炎の鼻漏(鼻水)

通年性アレルギー性鼻炎症例を対象として一側鼻粘膜上で、抗原誘発した際にみられる誘発側および反対側鼻腔の鼻汁重量はくしゃみの回数と優位の相関を示し、また誘発側鼻汁量は反対側鼻重量と相関する。

アレルゲンが入りこんだ鼻の反対の鼻の穴(つまりアレルゲンが入っていない方の鼻の穴)でも鼻水がでると書かれています。

また、「くしゃみと鼻水の量」「アレルゲンが入り込んだ鼻と反対側の鼻水の量」は比例するとのこと。

以上により(水溶性)鼻漏は、主にSP,GCRP陽性知覚神経終末に対するヒスタミンの刺激効果が鼻粘膜過敏性で増幅されて中枢に伝えられ、副交感神経反射により神経終末から遊離されるアセチルコリンが鼻腺に作用した鼻腺由来の分泌成分と考えることができる。

そして、くしゃみが鼻水に影響している関係性もあるため、鼻水でもどうように刺激の原因はヒスタミンと考えられています。

アレルギー性鼻炎の鼻閉(鼻づまり)

アレルギー性鼻炎にみられる鼻粘腫脹の背景には、鼻粘膜容積血管平滑筋の弛緩(うっ血)と同時に血漿漏出による間質浮腫がある。

抗原誘発時にみられる鼻粘膜膨張の発現には、化学伝達物質の血管系に対する直接作用と当時に、中枢を介する副交換神経反射と軸索反射、神経節反射が一部関与する。

(中略)抗原誘発時にみられる鼻粘膜腫脹にはヒスタミン、LTs、PAF、プロスタグランジンD2(PGD2)、キニン、そのほか多くの化学伝達物質の鼻粘膜血管系に対する直接作用が大きく作用する。特にLTsの関与が大きい。

運発相にみられる鼻閉粘膜腫脹は、この時期に2次的に鼻粘膜に浸潤した炎症細胞、特に好酸球由来のLTs、トロンボキサンA2(TXA2)、PAFによるものと考えられる。

鼻づまりの原因となる化学伝達物質はヒスタミン以外にも多くあり、また複合的な反応の結果でもあるようで副座主に思えます。

基本的には原因物質の影響で、鼻の血管が膨らむのと血管中の血漿が漏れ出すのとで鼻壁面が膨張し、その結果鼻の穴が狭まる、ということだと思います。

鼻毛や鼻毛に付着した鼻水も影響するのでしょうが、こうして鼻の穴が狭まることでいわるゆる「鼻づまり」になっています。