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子供の慢性的な咳について(2) 2008年公開のアンケート結果より

「子供の慢性的な咳について(1) 2008年公開のアンケート結果より」につづき、同じ「咳と痰の臨床(医薬ジャーナル社)」から引用します。この記事下部にリンクがありますので、そちらから振り返っていただくことも可能です。

前回で多くの子供が慢性的な咳を煩ってる可能性を示しましたが、今回は咳の原因について。なお、この「咳と痰の臨床」は2010年発行の本ですから、既に古くなっています。データの重要性はかわりませんが、鮮度や現状を正確に表しているかなどの問題がありますので、予めご了承ください。

子供の咳の原因

早速ですが、該当のデータを引用します。

原因疾患が特定される広義の慢性咳嗽の小児58名(8週間以上持続する咳嗽の男児27名、女児31名、平均年齢5.2歳)を対象とした我々の調査では、原因疾患は喘息が21名(36%)と最も多く、以下に副鼻腔炎、反復性下気道炎などがみられらた。狭義の慢性咳嗽患者は15名(26%)であった。耳鼻科的疾患の合併を認める児は63%であった。

データからみると、一番多いのは喘息だそうです。子供の頃に喘息を煩った経験のある方は多いと思いますので、納得できる結果かもしれません。「子供の咳が止まらない」「夜に子供がひどく咳をする」と心配に成る状況の原因として可能性も高いです。

喘息は薬で抑えたりできますが、長くつき合わなければならないイメージもあり、子供も保護者も大変な思いをする症状です。重度であれば、その苦労はより深まります。

今回の調査ではどちらかといえば重度ではない喘息だと思われますが、この場合ですと喘息だと自覚されていない喘息が多いのかもしれません。

アレルギーの家族歴

また、以下のような記述もありました。

アレルギーの家族歴は全体の78%と効率に認められ、中でも喘息の児においては90%に認められた。

アレルギーが遺伝するのかどうかの明確な結論はないようですが、データ上では関連性が感じられるようです。

遺伝というのは姿か形だけではなく体質も子供に伝わると考えることは自然かもしれませんが、アレルギーに対する反応、というよりは感度の高低が遺伝するのかもしれません。

例えば、花粉症は誰しも発症する可能性がはあるようですが、人や環境により発症時期や発症の可能性が大きくかわります。この「発症のしやすさ」が遺伝するのかもしれません。

なお、個人的な意見ですが、家族といことはやはり同じ環境で親子が長期間過ごしているということであり、環境要因も大きいはずだと思います。前述の「発症のしやすさ」に環境要因が加わることで、アレルギーと遺伝の関係性がより強く見えてしまう可能性もあるのではないでしょうか?

咳の原因疾患の分類

上記調査の詳細になりますが、この調査では以下の用に原因疾患が分けれています。

上記を更に、簡単にではありますが説明されています。

気管支喘息

気管支喘息の「-」と「+」があらわしていることがよくわかりませんでしたが、喘息に関しては以下のように考えられると書かれています。

疾患を元に考えれば、喘息では気道収縮、気道内分泌の過剰な生産と過粘性、また、分泌物内の刺激性物質の影響

後鼻漏患者にはおなじみですが、分泌物の過剰な分泌はどこにおいても影響がありますね…。

耳鼻科疾患

続いて耳鼻科疾患。

アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎などの鼻漏性疾患では、上気道の慢性的な炎症と過剰な鼻汁による刺激の影響

以下はどれに当てはまるのか明確ではありませんがおそらく上記の耳鼻科疾患なのだと思います。

胃食道逆流症では、胃液の逆流による直接的な咳受容体への刺激が推測され、反復性肺炎や副鼻腔気管支炎では感染による気道炎症と過剰な量、粘度の喀痰による直接的な刺激が考えられる。

鼻に関してですから、後鼻漏はこちらになります。なお、「喀痰」とは「かくたん」と読み、痰が出ることをさしています。この場合は、「ネバネバ度合いの強い痰がでる」という意味です。

気管支喘息

最期に心因性です。

心因性咳嗽や習慣性咳嗽もしばしば遭遇する疾患であるが、心因性のストレスが主因で咳受容体の異常や気道過敏症は、通常見られない。

心因性の咳というのははじめて目にしましたが、この記述を見る限り心因性のストレスは咳の原因にはならないように見えます。

しかし分類としてあるのですから、単に「咳受容体の異常」「気道過敏症」以外の症状が現れているだけなのかもしれません。

「子供の慢性的な咳について」の関連記事 「子供の慢性的な咳について」に属するのは以下の記事です。必ずしも後鼻漏に関わらない内容ですが、咳と後鼻漏の関係は不快ですし、その咳について知ることはムダにならないと思います。