ツラろう

慢性副鼻腔炎の薬物療法について

2012年の論文に、後鼻漏と関係が深い副鼻腔炎に関する記事がありますのでご紹介します。

内容は、副鼻腔炎を合併した、月経前症候群、頭痛、食欲不振、手指知覚障害、咳嗽に対する澤通気湯加辛夷の効果を実験したものだそうです。

論文の書誌情報

論文に関する情報です。

概要

びまん性汎気管支炎と副鼻腔炎。アレルギー性鼻炎と副鼻腔炎。気管支喘息と副鼻腔炎。これらのように、副鼻腔炎は多くの症状と合併しているそうです。そして、副鼻腔炎の治療を行う事で合併する症状に緩和にもつながるのでは、という考えに繋がったようです。

つまり、副鼻腔炎に漢方薬の麗澤通気湯加辛夷を用いることで、全体的な症状の緩和を最終目的としているようです。

なお、投与対象である患者の一部は麗澤通気湯加辛夷のみを服用していたわけではないそうで、実験の結果改善したとしても、かならずしも麗澤通気湯加辛夷が効いたとはいえないとのことです。

問診での話として、患者は自分で後鼻漏とは判断していないことが多いと書かれています。

医者の間では、副鼻腔炎に後鼻漏が伴うことが常識らしいですが、患者自身は後鼻漏との関係や後鼻漏自体を認識していないばあいもあります。問診時には「起床時に咽に痰のようなものがへばり付いていないか」などという積極的な質問をしないとだめな事例があったほどです。

最近でこそ後鼻漏は名前も少しは知られているようですが、まだまだ認知度は低く、自覚症状としても明確ではないのでしょう。

麗澤通気湯加辛夷とは

麗澤通気湯加辛夷は「れいたくつうきとうかしんい」と読むそうです。

効能としましては、嗅覚異常、嗅覚障害、鼻づまり、アレルギー性鼻炎、慢性鼻炎、蓄膿症(副鼻腔炎) に対して効果があるようです。

実験結果

前に述べた通り、必ずしも麗澤通気湯加辛夷の効果とは言い切れないようですが、5例のうちの3例には効果があったと結論づけています。

もともと、この漢方自体の効能が鼻炎に効果があるようなので、副鼻腔炎に対する効果は安心できるものなのかもしれません。しかし、他の症状の緩和ができているかどうかは微妙な印象です。

服用量によっては、上部消化器官に負担をかける場合があるとのことで、食後の服用や半量の投与などの工夫が推奨されています。

漢方薬にも副作用は存在しますので、これが効く、と言われたとしても自らの体質にあわなければ害になります。服用の際は、常に身体に気を配り、できるだけ身体からのシグナルを感じ取るべきだと思われます。