ツラろう

慢性副腔炎とは

このページでは、金原出版より出版されている「耳鼻咽喉科薬物療法マニュアル」から引用します。

金原出版は治療マニュアルを数多く出版している医学書に非常に強い出版社です。その内容は現場での使用に絶えうるもので、専門的かつ詳細な内容です。治療マニュアルが対象とする症状や術式、疾患も幅広く、教科書といった位置付けでもあります。

出版社で全てを判断できる訳ではありませんが、金原出版の医学書であれば一定の評価は確定していると考えても良いかもしれません。

副鼻腔とは

いきなり「副鼻腔」といってもどこかわかりませんので、まずは副鼻腔の簡単な説明から。

副鼻腔というのは、鼻腔(鼻の穴)の周りに左右に4個ずつで計8個ある、骨でかこまれた空洞部分を指します。

左右対称になっていて、それぞれの組で名前がついています。

この副鼻腔は鼻腔と繋がっていて、鼻腔と同じように粘膜で覆われて、線毛と呼ばれる非常に小さく細い毛が生えています。

この毛の働き(線毛運動)により異物を副鼻腔の外へ吐き出すことができます。

副鼻腔炎とは、この副鼻腔が炎症を起しているという状態を指します。

慢性副鼻腔炎とは

慢性副鼻腔炎の病態について「耳鼻咽喉科薬物療法マニュアル」では以下のように記載されています。

慢性副鼻腔炎は、頭部の含気腔である副鼻腔にウイルス感染に引き続いて生じた最近の炎症により、膿性貯留液や粘膜病変が生じる疾患である。

なお、鼻腔炎をより正確に表すと以下のようになるようです。

発症の機順において、前篩骨洞、上顎洞、前頭洞(前部副鼻腔)の開口部と固有鼻腔との交通路をostiomeatal complex(OMC)と呼称し、これらの解剖学的構造を機能的、外転的に一つとしてとらえ、前頭副鼻腔の炎症の原因は固有副鼻腔の炎症ではなく、OMCの病変によって引き起こされると考えられている。

つまり、OMCの病変によって副鼻腔のPO2,PCO2,pHなどの環境が変化したり、最近や炎症起因物質が洞内に貯留することとなる。

つまり、副鼻腔だけによる症状ではなくて、副鼻腔に繋がる部分全体が影響している症状だということのようです。

これはとても重要なことで、治療を考えた場合に副鼻腔の炎症だけをみていると見落としがあるという可能性も考えられます。

影響を与え合う部位を相互に観察することで、最適な治療ができるのかもしれません。