ツラろう

掃除機中のハウスダストと「フローリング」と「カーペット」

慢性的な鼻炎や後鼻漏の原因になる室内のハウスダスト。

布団の中に潜り込んでいるものも重要ですが、より直接的に人体に影響があるのが浮遊しているハウスダストです。

この記事では掃除をした時に、フローリングの床とカーペットの床のどちらが浮遊ハウスダストを発生させるのかという点について、論文を引用しつつ書いてみたいと思います。

論文の書誌情報

論文に関する情報です。2007年なので、この記事をご覧の時点では確実に過去の話であることを念頭に置いてください。

フローリングとカーペットを掃除した際のハウスダスト

早速ですが本題に。

フローリングの床とカーペットの床に掃除機を掛けた後、床と空中のハウスダストをエアポンプで捕獲して調査した結果が以下の部分です。

カーペットより得られたDer1量はフローリングよりも有意に多かったにも関わらず,空中Der1量は,カーペットを掃除機がけした時とフローリングを掃除機がけした時の間に有意差は認められなかった。

つまり、掃除機掛け時の床に存在するハウスダストはカーペットの方が多いのですが、空気中ではフローリングもカーペットもそれほど変りがないということです。

論文でも以下のように書かれています。

フローリングではカーペットに比較して床面に堆積したダストが舞い上がりやすく,ダスト吸入に併うアレルギー症状を誘発する可能性がある。

確かに、フローリングはカーペットのようにホコリを絡ませたりできませんから、空気が動くだけで多くが舞い上がるのは頷けます。 頷けますが、カーペットと同等とは…。掃除機掛けの際は、換気をしつつマスクが必須かもしれません。

ワイパーが有効 論文では、フローリングの掃除ではワイパーが有効であると書いています。

一方,フローリング用ワイパーによる掃除では,掃除機がけに比べて発塵量は少なかった。

そこでさらにプローリング用ワイパーによる清掃を調べるため,高野らは清掃後の床面に沈降したハウスダストを回収し,Der1を定量した13)。

ワイパー用シートには湿式タイプを用い,掃除機がけの前に使用するとともに,ダニアレルゲンの抗原性を低減するセルロース誘導体水溶液を含浸させた。

この湿式ワイパーを用いた清掃では,通常の掃除機がけに比べて清掃2時間後の床面上のアレルゲン量は有意に少なかった。

掃除機のように排気の影響がないのが大きいのでしょう。

また、掃除機では不可能な薬剤の塗布も可能であり、論文では「ダニアレルゲンの抗原性を低減するセルロース誘導体水溶液」をしみ込ませたことで更に効果を上げた模様です。

ただ、掃除といいますか人が動けば空気が動きます。これだけで非常に微細なハウスダストは床から空中に舞い上がってしまいます。

その点はワイパーだろうとなんだろうと、どうにもなりません。

掃除機選びの注意点

ハウスダスト対策の掃除といえば排気のクリーンさがうりでしょうが、排気がどれほどきれいでも床上に積もるハウスダストを巻き上げることに違いはありません。

こうなると、排気のクリーンさに加えて排気自体が少ないものを探すしかありません。が、排気のでない掃除機などありませんし、諦めが肝要に思えます。

掃除機の性能も大切ですが、できるだけ換気して室内に浮遊するハウスダストを外に流しだすのがよいのかもしれません。 または、高性能な集塵機(空気清浄機ぐらいした思いつきませんが)でを用いるぐらいでしょうか…。

いずれにせよ、掃除機中には確実にハウスダストが舞い上がっている点に留意する必要はあります。