
1974年と言えば相当な昔ですが、その当時に小学校6年生と5年生の計136人の子供に対し、口呼吸原因調査を行った際のデータが公開されていましたので引用します。
論文に関する情報です。
タイトルにあるように、口呼吸と鼻疾患の関連を調べる調査です。
後鼻漏の私たちにはおなじみですが、口呼吸はいろいろと害が大きい状態です。この論文でも、
口呼吸常習者 には歯 肉炎やウ蝕が発生しやすく,また歯列不正を合併するなどいわゆる歯科の3大疾患と密接な関連を持っていると思われる。
といわれています。ただ、どうやらあまり科学的な実証がないようで、診察時の経験則的な部分があった模様です。そのため、この論文のような調査を行ったとこのと。
記事では、鼻閉塞を起こしやすい症状として以下の8つを上げて調査項目としています。
後鼻漏もしっかりありますね。そして、以下が結果です。なお、数値は%表示です。
症状 | 鼻閉塞の割合 |
---|---|
鼻中隔彎曲 | 26.6 |
下鼻甲介の腫脹 | 7.0 |
中鼻甲介の腫脹 | 1.2 |
鼻漏(水性) | 2.4 |
鼻漏(粘液性) | 4.7 |
鼻漏(膿性) | 6.4 |
後鼻漏 | 9.3 |
咽頭扁桃肥大 | 7.6 |
口蓋扁桃肥大 | 22.0 |
鼻茸 | 0.6 |
鼻中隔彎曲と口蓋扁桃肥大が20%を越えるため口呼吸の原因として一般的(といいますかメジャーと言いますか)なようです。後鼻漏は9%なのでそれらに比べると低いですが、順位としては3番目に多いようです。
他症例との比較ではこのような結果ですが、割合は少なくとも、やはり口呼吸になった原因として後鼻漏が挙げられるようです。
口呼吸常習者の臨床的兆候として、以下の症状が挙げられています。
鼻閉塞,上顎前突,開咬,高い口蓋の穹隆,口唇閉鎖困難,口唇乾燥,口臭,歯肉の口呼吸線,堤状隆起,口蓋垂反射の消失など
後鼻漏の口臭は鼻漏(鼻水)自体の臭いという部分もあるようですが、後鼻漏になった結果として口呼吸を行い、その口呼吸が口臭の原因となる、ということもあるようです。
少々ややこしいですが、結局体の一部に異常があると、その異常が別に異常を引き起こしていく、ということですね。
この場合、口臭予防の薬などは場当たり的であることがよくわかると思います。
口臭を直すには口臭の原因を直さなければならず、そこを無視してガムをかんだり口腔内を洗浄しても一時しのぎにすぎませんから。
しかし、視点を変えれば口呼吸の原因となる要因を改善すれば、連動して口臭もましになるとも考えれますの、そう悲観ばかりしなくてもよいと思います。原因不明ということではないのですから。
今回の論文では10-12才ぐらいの子供が調査対象であり、数値的には約半数が口呼吸を行い、そのせいで新たな異常(歯肉炎など)が発症したり悪化したりする状態であったようです。
自分の感覚として「口が渇く」という症状と「鼻で息がし辛い」という症状がある場合は、子供であっても診察に行った方が良いのかもしれません。