ツラろう

後鼻漏と咳の関係と原因。医師の診察。

後鼻漏になると咳が長く続く(3ヶ月以上など)ことがありますが、それはたまたまではなく、高い可能性として因果関係があります。

ここでは「咳と痰の臨床」(医薬ジャーナル)からの引用を中心に説明できればと思います。

後鼻漏が咳の原因となる場合のしくみ

後鼻漏が咳の原因となる場合に、可能性が高いと考えられているその仕組みとして以下の2点を挙げています。

1)後鼻漏に含まれている種々の病因物質が咽喉頭さらには気管に流れ落ち、これにより二次的に局所の炎症を惹起して咳を誘発する 2)粘稠な後鼻漏が直接的に気道粘膜に分布する咳受容体を刺激して、咳嗽を誘発する

基本的には鼻水が垂れてくる事によって起こる「間接的な炎症」と、「直接的な刺激」が原因のもようです。

後鼻漏に関する咳を診察する際のポイント

咳というのは1つの結果でしか無く、その原因はいくつも考えられます。「後鼻漏→咳」という構図はありますが「咳ならすべて後鼻漏」ということはありませんものね。

そこで後鼻漏と咳を同時に訴えた場合は、下記のような問診等が重要になるようです。

後鼻漏と咳症状を訴える場合 1)問診:自覚症状、合併症、服薬状況、過去の鼻科手術の既往、など 2)鼻内・侯咽頭所見 3)画像診断所見 4)アレルギー検査などの臨床検査 5)心理テスト:心因性の関与が疑われる場合

問診はとても重要だそうなので、診察を受ける時はしっかり受け答えをしましょう。

医師に伝える際には語彙に悩んでしまいますが、「イガイガ感」「ひりひり感」のような言い回しでもよいようですので、擬音語でも擬態語でもなんでも良いので、自分が感じている違和感をがんばって伝えて下さい。

また、勘違いされている方も多いようですが、口の中を目視でみるだけでは後鼻漏などの発症は確認できません。

「鼻咽腔内視鏡検査」のように機材を使った画像診断も必要になります。理由の1つは、口の入り口からでは患部が見えないからです。

咳はでるが後鼻漏では無かった場合

前述のように咳と後鼻漏はイコールではありませんので、別の症状であることが当然考えられます。その場合の例として以下のように書かれています。

後鼻漏が存在せずに症状が持続(後鼻漏感) 1)急性感冒(かぜ症候群)後の咽頭粘膜の発赤所見と粘液付着 2)咽頭粘膜の感想・萎縮所見と分泌液の停留・念域付着(高齢者に多い)

咳はでるのに後鼻漏だと自覚がない場合

逆に「咳が続いていても後鼻漏だと自覚がない場合」もあるようです。この場合のケースとして以下のような状況を挙げています。

小児や高齢者、或は聖人でも朝の起床時において遭遇することがある。 これは通常、覚醒時には鼻腔より咽頭へと流れた後鼻漏は、生理的な嚥下運動にて飲み込まれ水分の再吸収現象を生じる。 しかしながら、夜間睡眠時においては体位(仰臥位)と食道入口部の咽頭収縮筋の緊張現象により、後鼻漏が声門を通過して気管・気管支内に貯留する現象が観察されている。 これが起床時に再度、喀痰として輩出されるのである。

後鼻漏と自覚している方にはおなじみですが、あの寝起きの不快で辛い鼻水感です。あれ自体が後鼻漏を疑う要因の1つと言えるかもしれません。 なお、小児の場合は更に続きがあります。

小児では副鼻腔のクリアランス機構が未熟であり、かつ「鼻つかみ」の習慣がついていない場合も多いため、後鼻漏が刺激となって咳嗽症状が持続する場合も多い。

何事においてもそうですが、子供はからだの内部的にも幼く、大人では問題にならないことであっても悪影響を受ける可能性がある、ということでしょう。

後鼻漏が原因の咳の治療

後鼻漏に伴う咳の治療はとりも直さず、原疾患となる上気道疾患の利用を精力的に行うことであると言える

このサイトでも何度も書いていますが、後鼻汁、すなわち喉に垂れてくる鼻水を治療することが第一です。咳自体を沈める方法はあるでしょうが、原因が取り除かれない限り完治は不可能ですからね。